介護療養型医療施設から介護医療院への移行については、2024年3月までの経過措置期間が設けられています。
経過措置の期間以降は、全て介護医療院へと転換することになります。
現在、介護医療院へ移行をご検討されている事業所や経営者様も多いのではないでしょうか。
経過措置期間が2年を切った現在の状況と概要を簡単にまとめました。
介護医療院創設の背景
従来、慢性期の医療・介護のニーズを併せ持つ高齢者に対応できる介護保険サービスはありませんでした。
高齢化社会が進む日本においては、今後はこのようなニーズを持つ方々の増加が想定されるため、
介護保険施設としての新たな選択肢の検討が進められました。
介護医療院は、日常生活上に必要な医療処置や充実した看取りを実施する体制があり
なおかつ、プライバシーが尊重され家族や地域住民との交流を図ることができる施設として、2018年4月に創設されました。
介護医療院とは
「長期療養のための医療」と「日常生活上の世話(介護)」を一体的に提供する施設です。
医療ケアが必要な方を対象として見取りも視野に入れた長期入所を前提とし、
介護と医療の両方を必要とする利用者が安心して生活できる場所を提供します。
介護医療院の開設状況
介護医療院の施設数は増加傾向にあり、2022年3月末で677施設まで増加しています。
介護療養病床等から介護医療院へ移行した施設も数多くあり、特にⅠ型介護医療院への移行が多いことがわかります。
出典:厚生労働省「介護医療員の開設状況について」より抜粋
(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000911206.pdf)
介護医療院の概要
出典:厚生労働省「介護療養病床・介護医療院のこれまでの経緯」を元に作成
(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000337651.pdf)
施設類型について
介護医療院には、「Ⅰ型介護医療院」と、「Ⅱ型介護医療院」の2種類があります。
介護医療院の開設許可は1つの介護医療院を単位として行われますが、介護医療院サービスを行う部分として認められる単位は
原則 60 床以下の「療養棟」単位です。
1つの介護医療院でⅠ型・Ⅱ型を組み合わせることで、柔軟な人員配置やサービス提供をすることができます。
また、Ⅱ型介護医療院への移行で人件費軽減もできます。
面積基準について
面積基準は老人保健施設相当以上(8.0m² 以上)
プライバシーに配慮した環境整備が必要です。
(多床室の場合でも家具やパーティション等による間仕切りの設置が必要)
ただし、療養病床等を2024年3月31日までの間に介護医療院へ移行を行う場合、当該転換に係る療養室の床面積は、
新築、増築又は全面的な改築の工事が終了するまでの間は、入所者1人当たり6.4㎡以上となります。
新設・移行に対する支援
WAMNET(独立行政法人福祉医療機構)では、
介護医療院への移行を支援するための融資制度やシュミレーションツールが公表されています。
融資制度やシュミレーションツールはこちら
※なお、今後、方針や制度が変更される可能性もあります。
介護医療院へ移行を検討する際は、最新情報を必ずご確認ください。
介護報酬について
介護医療院の基本報酬は、2021年4月に引き上げられました。
(一方、介護療養型医療施設の基本報酬は、介護医療院への移行等を進める観点から引き下げられました。)
Ⅱ型はⅠ型よりも満たさなければいけない要件が緩和されていることもあり、単位数もⅠ型より低く設定されています。
WAMNET「介護保険事務処理システム変更に係る参考資料(確定版)(令和4年3月25日)」を元に作成
(https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2022/0322211612293/202203b.pdf)
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