令和2年12月、厚生労働省から令和3年度介護報酬の改正内容に「業務継続に向けた取組の強化」を加えたことが発表されました。
今後、介護サービス事業者は、業務継続に向けた計画等の策定などが義務付けられることとなります(3年の経過措置期間あり)。
業務継続計画(BCP)とは
内閣府(防災担当)が作成した「事業継続ガイドライン-あらゆる危機的事象を乗り越えるための戦略と対応-平成25年8月改定」による定義は以下の通りになります。
大地震等の自然災害、感染症のまん延、テロ等の事件、大事故、サプライチェーン(供給網)の途絶、突発的な経営環境の変化など不測の事態が発生しても、重要な事業を中断させない、または中断しても可能な限り短い期間で復旧させるための方針、体制、手順等を示した計画のことを事業継続計画(※1)(Business Continuity Plan、BCP)と呼ぶ。
※1介護分野ではBCPを業務継続計画と呼称。
介護事業者は何をするべきか
介護事業者においてはサービスを提供するために必要な3つの経営資源を守る対策が必要になります。
(1)「建物・設備」を守る
建物の中には、利用者・職員がいるとともに、ケアプランをはじめとするサービス提供に欠かせない情報があることから、それらを守るため、最優先で建物の安全対策を講じます。
また設備においては災害における防震、防災、防水の対策に備える必要があります。
(2)「職員」を守る
職員を感染症から守るためには、介護施設の感染予防マニュアルに沿った取り組みを全員で行い、それを継続することが重要です。
感染予防策において必要となる備蓄品として、マスク・手袋などの防護資材や消毒剤などがあります。平常時から、必要な備蓄量を確保することが大事です。
(3)「ライフライン」を守る
災害時に電気・ガス・水道などライフラインの供給が停止すると、介護サービスの提供が難しくなります。
介護事業者は、ライフラインが停止した場合でも、介護サービスの中断を防ぐための対策を講じることが求められます。
介護サービスは、利用者の生活を支える上で必要不可欠なものです。
そのため、自然災害の発生や、感染症の流行によって介護サービスが停止すると、利用者の生活に大きな影響を与えます。
そこで介護事業者は、介護サービスが中断しないよう準備するとともに、中断した場合でも速やかに復旧させるため、あらかじめ検討した対策をBCPの形にまとめておくことが求められています。
参考文献:
厚生労働省
「介護施設・事業所における新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン」
厚生労働省
「介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」